うつくしきもの

観劇ブログ

ライブスペクタクル NARUTOを見てきたよ(ネタバレ注意)

期待値★★☆☆☆
評 価★★☆☆☆
上記のような感じですが、舞台NARUTOを見てきました。相変わらずキャスティングは神憑ったものを感じるし、演出も頑張っているし、なにより2幕の蛇結成~サスケvsイタチ戦はめちゃめちゃよかったんですが、全体の完成度としてはあまりに・・・。我愛羅救出~サスケvsイタチ戦までを一公演でやるのは難しいですよ、どう考えても・・・制作の事情もわかるけどね。やっぱりジャンプ作品を舞台化することの難しさを痛感する出来でした。ナルステは前作も見ていて、前作も七班結成~波の国~中忍試験~サスケの里抜けまでをやるというかなり厳しい詰め込み具合だったんですが、今回は更にひどかったというか、2部最初のナルトって結構・・・悩んだり悶々としたリするところが多いんですよね。で、細かいエピソードの中の微妙~な心の機微でナルトの優しさとか勇敢さとか普通さとか強さが私たちの心に刺さってくるんですけど、舞台はとにかく「機微」にあたる部分を端折るんですわ。我愛羅奪還編はそもそも我愛羅が出ない、サイ編はまじで端折りすぎて原作の余韻ゼロ(ギャグパートはしっかりやるのに)、暁も端折られ過ぎて原作のオドロオドロしさがない、1幕はこんな感じです。別に必要がないなら端折ってもいいと思うんですが、半端にやるんですよねどのエピソードも。だからナルトはなんかずっと悶々としてて、かっこいいことをとってつけたようにいい、いまいち見せ場がないまま話が進んでいってしまう。ナルト役の松岡くんってこんな感じだったっけ・・・?松岡くんはテニミュsecondで遠山金太郎役をやっていて、本当にものすごく巧かった印象があったので、見せ場がどこかわからないまま一幕が終わってしまって、すごく残念な気持ちになりました。
あと、今回のナルステはびっくりするほど前作と傾向を変えてきていて、何が顕著かってかなり歌の割合が大きいめちゃくちゃミュージカル仕様だったんですね。ほぼ全編歌では?というか・・・。私は2.5の舞台は全てミュージカルにしたほうがいいと思っている勢なのですが、それにしても前作とあまりに傾向が変わりすぎていたのでびっくりしたのと、うん・・・あんま、いい曲がなかったかな、というか・・・。これを何故リプライズする!?みたいな歌が多かったです。各々の目的を問い歌う歌とか。歌ウマな役者さんが物凄く多くて、それはとてもよかったです。ヤマト隊長が本当に歌がうまくて驚きました。あと綱手大蛇丸の三忍のうち二人が宝塚出身で歌も危なげなく、大変見ごたえがありましたね。
2幕は蛇の結成~サスケvsイタチ戦の結末までです。ここはサスケのパートとして話の筋が通ってるのですごくよかったし、イタチ役の良知さん、サスケ役の流司くん、そして蛇のメンバーそれぞれ、とても嵌り役で熱のこもった演技をされてました。サスケとイタチの愛が憎しみで憎しみが愛みたいな感情ドロドロぶつけまくる殺陣あり忍術ありのバトルは見ものです。流司くんは感情を篭めた歌い方がすごくうまいですね。心が震えました。
まあ、ちょっとデイダラ戦は蛇足だった気もしますが・・・。全編に言えることなんですけど、NARUTOは忍術があるのでかなり現実に再現するのが難しいんだと思うんですよ。それを試行錯誤でどうにかこうにかやろうとすると、忍術の演出に力を注ぎ過ぎて本編がおかしなことになるんですね。デイダラの粘土がバルーンで再現されたときは「お。おお~・・・」と思ってしまいました。しかも、もうナルステは我愛羅奪還をカットした実績があるわけじゃないですか。我愛羅をカットしてデイダラをやらなきゃいけない理由って何なんですかね。ちょっとわからないですね。
1幕はサイ役の北村君がすごくアクションも演技もよくて、まさにサイ!!って感じで見ごたえがありましたし、サクラちゃんは本当にかわいくてかわいくてほかの舞台でも見たい!!!って思いましたし、ヤマト隊長はかっこいいしイケメンだし歌がうまくて本当によかったです。ただナルトの見せ場がなさすぎるし、我愛羅戦カットするなら最早サイ編もいらなかったというか、1幕はサイだけにフォーカスするとかすればよかったと思います。ただ、もう、何より2幕が本当によかったので、2幕だけで1公演作ればよかったのでは?というか・・・。
初演のときも思ったんですが、NARUTOは大事なストーリーに入る前の移動してたいるときとか、ストーリーごとの幕間みたいなシーンがあるので、ちょっと難しいんですよね。しかもその幕間に大事なキーが落ちてたりする。それを全部詰め込もうとするとおかしいことになってしまうんですよね・・・。
最初からミュージカルにして、初演を7班結成~波の国まで、2作目を中忍試験~我愛羅戦まで、3作めを暁編~里抜けまで・・・とかっていうふうに徐々にやって真面目に歌も作っていければ、テニミュみたいな息の長い作品になれたんじゃないかな・・・と思います・・・てか、波の国はもっとできたと思うよ。ハクと再不斬の話超いいもん・・・。
なんというか、ジャンプの舞台は難しいなあ、と思った今日このころでした。BLEACHのミュージカルも2016年にやったのを見に行ったんですけど、脚本がめちゃくちゃすぎて頭痛を覚えたのを思い出してしまった・・・。(まあBLEACHは全編めちゃくちゃでした。NARUTOは2幕はよかったです)
2.5作品が乱立する今日ですが原作のデモンストレーションなら、もうやらなくてもいいんじゃないかなあ。やっぱり演劇として舞台にするなら、話に引き込んで最後に話から客を出さなきゃいけないと思うんですよ。今回みたいに1幕丸々使って「状況の説明」みたいになると、本当につまらないお話になってしまって残念です。
2.5は確かにキャラを見に行ってるんですが、原作を再現しようとしてあがいた挙句中途半端な完成度のものを見せられるのが一番困ります。努力が見えるだけに切ないというか・・・。